みゆき野球教室

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海猿 ウミザル

広島県呉市は父の生まれた地で、私も何度か行ったことがある。幼稚園に入る前、父が入院することになり、呉の叔母の家に長期間預けられた。
当時の呉は、まだ呉線が電化されていなくて、C62やC59といった大型蒸気機関車が牽引する古い客車が走っていた。呉と安芸阿賀の間にあるトンネルはとても長く、煙やススが客室内にも入って来た。
 
叔母の家のキッチンは不潔で、おまけに水道の蛇口をひねれば白い水が出てきた。そのため、ご飯が食べられなかった。それがトラウマになり、今でも他人の家で作ったご飯が食べられないし、水道水が飲めない。
 
叔母は優しい人という記憶があったが、20年くらい前に父が死に、その後に久しぶりに会った時、差別的な発言をするのを聞いて、残念な気持ちになった。
 
去年の5月、広島訪問の際に呉に立ち寄った。一番の繁華街も人気がなく、景気後退の波は地方には深刻だと感じた。
 
呉を舞台にした映画は多い。この秋に公開が予定されているアニメーション映画の「この世界の片隅に」もそうだし「仁義なき戦い」という名作もある。以前取り上げた「モヒカン故郷に帰る」も呉市にある島が舞台だ。
今回は「海猿 ウミザル」を取り上げる。この作品は呉市にある海上保安大学校で潜水士になるために厳しい訓練に明け暮れる姿を描く。呉の街も随所に出てくる。
 
初めてこの作品を観た時、とても感動した。しかし、今ではその感動を返せと言いたい気持ちだ。その理由は、沖縄で基地移設反対派の市民に対して暴力で制圧しようとした写真を見たからだ。無抵抗の市民に対して首を絞めたり、小型のボートに激突したりと、とても海を愛するものがすることではない。