みゆき野球教室

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大菩薩峠

大菩薩峠」の三部作を観た。
これは中里介山原作の超長編小説を映画化したものだ。
原作小説は新聞に長い期間連載していたが、作者の死によりとうとう完結しなかった。
映画は日活、東映大映、そして東宝で映画化されたが、私が観たのは大映市川雷蔵主演によるもの。
 
市川雷蔵は本作では、汚れ役ともいえる机竜之助を演じた。机竜之助は剣術の腕は確かであったが、彼の剣は驕っていた。罪のない人々をその剣によって斬っていた。
しかし、ある事件以降、彼は追われるように江戸、京都へと流れていく。彼に関わった女はみんな不幸になる。
 
作品には机の他、新撰組の芹沢や近藤、実在の剣豪 島田虎之介なども出てくるが、私は義賊の裏宿の七兵衛が好きだ。彼は男気に溢れ、困った人に寄り添う。彼も実在の義賊がモデルになったとされる。
 
第一作と第二作は三隅研次が監督し、完結編は森一生が監督した。前二作は文句なく面白い。しかし、完結編はグロさが出て、それほど楽しめなかった。
 
この作品をご覧になる時は、どうか照明に注目してほしい。光と影の使い方が実にうまい。また、美術がいい。これも注目のポイントだ。
 
日本映画が斜陽化する前の、最後に輝いていた時期の名作。心からお薦めする。
 
※予告編は第二作のもの。