みゆき野球教室

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スティング The Sting

今日は赤坂の放送局へラジオの寄席番組の公開録音を見に行った。この寄席番組は、野球のナイトゲームがない10月から3月まで、日曜日の午後8時から放送される1時間番組。毎回、3組の芸人が出て、タップリと噺を聴かせてくれる。

 
この公開録音は、以前はよく行っていたが、最近はご無沙汰。10年ぶりくらいか。
今日の出演者は、柳亭小痴楽、入船亭扇遊、三遊亭天どん、桂南喬の落語、宮田陽・昇、ホームランの漫才、そして前座は柳家小かじ。
一番面白かったのは、南喬と宮田陽・昇、そして前座の小かじだった。あとは言うまい。明るい夜だけではないから。
小かじは、私が贔屓にしている柳家三三の弟子。三三の弟子だけあって、上手いし奥行きがある。この人は必ず真打ちになり、大物になる。
南喬は、さすが名人芸。彼が演じたのは古典の名作、「壺算」。これは、一種の詐欺的な買い物をおもしろく語ったものだ。同種の噺には、おなじみの「時そば」がある。
 
詐欺というものは、鮮やかに決まると実に気持ちがいい。もちろん、これは傍観者の立場の話。実際に騙されるのは嫌だ。しかし、本当に上手い詐欺師は騙された本人がそれに気づかず、むしろ進んで財物を提供させるらしい。だから私たちも知らないうちに騙されているのかもしれない。
私に大学で経済学と投機学を教えてくれた師匠の山崎和邦は著名な投機家であったが、詐欺師の研究でも有名な人で、そんな詐欺師たちの鮮やかな手口をよく聞いたものだ。
 
スティング」は、そんな詐欺師の華麗な活躍を描いた。
この映画は、実に巧妙なプロットが見ている私たちをあっと言わせ、最後は快い気分にさせてくれる。だから、詳細に書くことは控えよう。ぜひご覧いただきたい。
 
詐欺は映画や小説の題材になることが多い。映画ではこの「スティング」が最高傑作だろうし、小説では、ジェフリー・アーチャーが自らの体験から書いた「百万ドルをとり返せ!」が私は好きだ。この作品はBBCでテレビ映画化されたが、小説には及ばなかった。
 
さて、話を落語に戻そう。
私が落語が好きなのは、こんな理由もある。それは落語家は師匠のことを第三者に話す時、必ず呼び捨てにする。これは会社勤めをしていたら当たり前だ。例えば、顧客から電話で「鈴木課長はいらっしゃいますか?」と聞かれ不在だったら「鈴木は席を外しております」と言う。間違っても、「鈴木課長さんは席を外していらっしゃいます」とは言わない。言っては社会人失格だ。しかし、学術の世界や演歌の世界では師匠のことを第三者に話す時でも「先生」とつける。実にみっともない。
 
久しぶりに生で落語を聴けていい休日だった。また機会を見つけて寄席に出かけていこうと思う。
公開録音が終わり、赤坂の街に出た。かつて暮らしたこの街は、いまではすっかりと変わってしまった。