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陸軍中野学校

スパイに憧れた。

子供の頃、文具メーカーのサンスターは「スパイ手帳」を発売し、男子女子問わず子供の心を鷲掴みにした。目玉は、水に溶ける紙。調べてみると、各社から類似品が出たようだ。
グリコプリッツの懸賞で「スパイバッグ」が当たったこともあった。これはアタッシュケースに各種スパイ用品が入っていたと思う。
テレビでは「スパイ大作戦」が放映されていて近所の男の子たちが熱狂していたが、私は見ていない。ただ、「なお、このテープは自動的に消滅する」という決まり文句だけは知っている。
 
中学に入ると、「チャーリーズ・エンジェル」を見るようになった。これはスパイというよりは探偵と言ったほうがいいかもしれない。
 
映画ではやはり「007」シリーズがいちばん有名だろう。「ボンド。ジェームズ・ボンド」という決まり文句に奇想天外な小道具の数々、そしてスケールの大きなストーリーは文句無しで面白い。
私は、ボンド役はロジャー・ムーアがいちばん好きだ。
最近の作品では、「ミッション:インポッシブル」シリーズも堅調だ。危険なスタントもプロデュースもやってしまうトム・クルーズの役者根性には頭が下がる。トム・クルーズはファンサービスに熱心なことでも知られている。
 
スパイ映画は外国の専売特許のように思われているが、日本にも傑作スパイ映画がある。それが「陸軍中野学校」シリーズだ。市川雷蔵主演で5作つくられた。
これまでの市川雷蔵といえば、時代劇の大スター。それが、背広姿で出演するということで、戸惑ったファンが多かったようだが、私はむしろ、こちらの雷蔵が好きだ。
 
陸軍のスパイ養成所、中野学校には各地の部隊から選び抜かれた若者が集められた。彼らは、親や妻を捨て、名を変えて日夜勉学に励んだ。その科目は、軍事学はもちろんのこと、航空機の操縦やモールス通信、暗号解読、外国語、人の殺し方やスリ、そしてベッドでの女の喜ばせ方まであった。
1年の養成期間を終え、卒業試験として彼らに与えられた任務は、イギリス領事館に潜入して暗号解読書を盗み出すことであった。
 
市川雷蔵は、とてもスマートな人だ。大映に同期入社した勝新太郎は野性味あふれる人だったが、雷蔵は都会的で育ちの良さそうな人だった。勝と雷蔵はライバルであったが、親友でもあった。彼らのことを映画界では頭文字から取って「カツライス」と呼んでいた。
そのスマートさは、病弱なところも併せ持っていた。彼は、37歳の若さで世を去った。もっと長生きをして多くの作品に出て欲しかったし、制作者として映画や演劇を作って欲しかったが、一方美しい雷蔵さまのままで世を去って良かったと思う気持ちもある。
 
この映画は、外国のスパイ映画のような派手なアクションはないが、十分に鑑賞に堪える作品だと思う。
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