一人息子
4月10日は「駅弁の日」だったそうだ。
駅弁というと、デパートで駅弁フェアが行われた時に行ったことがあるが、人が多くて何も買わずに会場をあとにした。
昔は駅弁はあまり美味しくなかった。高いばかりでありがたくない。しかし、私の親世代は駅弁をとてもありがたがり、旅行に行くと必ず買っていた。その頃は、一旦駅の構内に入ると、駅弁か駅構内の食堂か、食堂車という選択肢しかなかった。どれも高かった。競争相手がいないので、高くて不味いものを出しても商売が成立する。
今は、構内にもコンビニが出来、その他の選択肢も多くなって駅弁も苦戦を強いられている。駅弁業者も少なくなっているそうだ。
子供の頃、軽井沢に避暑に行く時、高崎で停車した急行電車を降りて駅売店までアイスクリームを買いに行った。すると、電車のドアが閉まり、動き出した。びっくりして泣き出したが、ただ停車位置の調整だった。
高崎の駅からは巨大な観音が見えた。それは私が住んだことがある大船に似ている。
大船には、名物の駅弁で「サンドウイッチ」がある。シンプルなハムサンドとチーズサンドの組み合わせで、ハムは鎌倉ハムを使っている。日本最初のサンドウイッチの駅弁だが、国鉄時代は米飯が伴わないものは駅弁にあらずということで正式な駅弁ではなかった。
私はこのサンドウイッチが大好きで、大船方面に行く時は必ず買うようにしている。かつては売り切れ御免で午前中には無くなっていたが、今は1日中買えるし、新宿の小田急線の売店などでも買えるようになった。
人は彼のことを史上最高の大根役者という。そうかも知れない。確かに彼の演技は下手だ。特に、小津作品では全く自分の演技をしていない。それでも、存在感があるのは、小津が引き出した才能だろう。
「一人息子」では、笠智衆は主演ではない。彼は、信州の小学校の教員を演じている。
彼は、いつもいつか東京へ行って、もう一度勉強し直したいという。そして、夢を叶えて東京へと旅立つ。
数年後、偉くなった息子に会うため、単身東京へ向かう。しかし、息子は夜学の教員として働くが貧しく、出世しているとは言えない。また、青雲の志を持って上京した大久保先生も、今やトンカツ屋のオヤジになっている。がっかりした母に、東京は人が多く、なかなか偉くなれないという。苦労の末、東京までやった息子がこのような状態で失望するが、この一人息子はとても優しい人間に成長していて、母は彼を見直す。
当時36歳の笠智衆の老け役はハマっている。
私は、この作品が大好きだ。小津の最初のトーキーであり、松竹最後の蒲田撮影所での作品。