みゆき野球教室

ダメ人間の由佳さんが毎日0時に更新しています

海軍兵学校物語 あゝ江田島

この映画が作られたのは、1959年。したがって、まだ戦争を体験した人が撮影所にも多く存在していた。すでに占領を離れ、独立国となったのでGHQの検閲も受けずに、自由に映画が撮れる環境にあった。
 
この作品を観て、これは反戦映画なのか、それとも反戦映画の形を借りた戦争や軍隊を賛美する映画なのか、ジャンル分けに困ったが、おそらくは戦争で死んでいった軍人やその家族たちへの鎮魂の映画のように思えた。
 
江田島海軍兵学校は、徹底して海軍の士官養成のための教育を行った。ここに入るのも、そして生徒として学業を終えるのも、選ばれたもののみが許された。そのため、非常にエリート意識は高い。一般の市民は、赤紙一枚で召集され、牛馬のごとく扱われるのに対し、この学校に入れば高度な教育が受けられ、三食が保障され、卒業すると少尉候補として任官し、その後は最低でも大佐まで昇進が約束されている。夏休みや正月には帰省も許された。
 
ここでは上級生に対しては、小暮(1号)生徒というように呼ぶ。決して、小暮先輩でも小暮さんでもない。最上級生は1号生徒、そして2号生徒、新入生は3号生徒ということになる。
3号生徒は、日々1号生徒から暴力を受ける。殴られた者ほど見込みがあると言われている。
 
結局、この作品の主人公である石川3号生徒や村瀬3号生徒にとっては、入学後すぐに戦局が厳しくなり、すぐに特攻隊員として最前線に配置されることになる。
 
いささか、校内の生活を美しく描きすぎたように思う。戦争はそんなに美しいものではない。
それでも、戦争の虚しさ、愚かさは伝わってきた。
私はこのような感想を持ったが、「愛国者」といわれるネトウヨのセンセイ方は、どうやら違った見方をされたようだ。恐ろしい。
 
3月29日には、集団的自衛権の一部を行使できる、戦後日本の安全保障政策の大きな転換となる安全保障関連法が施行された。
この国は、再び戦争ができる国になろうとしているが、それまでには寿命が尽きて天国に召されたいと思っている。