みゆき野球教室

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兵隊やくざ

昔の日本は豊かだった。
戦後、すべてを失い、その後懸命な努力の末、アメリカに次ぐ経済大国になった。
国民も豊かになり、土地や建売住宅が飛ぶように売れた。
バブルの頃はジャパンマネーが世界中の土地や美術品を買いあさり、非難されることもあった。
その頃は、山手線の内側の土地を売れば、アメリカ全土が買えるほどになった。
 
しかし、1990年の東京証券取引所大発会から株価は下落を始めた。株価は景気の先行指標と言われ、実体経済の半年から8ヶ月先行する。事実、その通りとなり、景気は冷え込んだ。絶対に潰れないと言われていた銀行も破綻した。
失われた20年と言われたが、その後回復の見込みがなく、今に続いている。
不景気の中、三度の好景気があった。ITバブル、いざなぎ越えの好景気、そして今のアベノミクス景気だ。しかし、これらは大企業と富裕層は潤ったが、一般庶民はその恩恵を受けられないばかりか、ますます貧しくなった。つまり、庶民にとってはバブル崩壊後は一貫して貧しい暮らしを強いられていることになる。
 
そして、アベノミクス景気もいよいよ終焉に近づいた。これで一般庶民はさらに厳しくなるだろう。
この先、私の未来の記憶では富士山が噴火して経済が麻痺し、安倍政権は逃げ出し、さらに悪い政権が国民を支配する。夏には中国・四国で大地震が起こり、その前後でついに戦争が始まる。私の未来の記憶はここで終わる。つまり、私は次の戦争で死ぬ運命にあるのだろう。
 
かつて、アジアに日本という豊かな国があった、そう言われるだろう。
 
戦争を描いた映画は多いが、今回は「兵隊やくざ」を取り上げよう。
勝新太郎は、娑婆ではやくざだったが招集され陸軍に入隊する。しかし、上官には逆らうし、規則は守らない問題のある兵隊だった。そんな彼の教育係を任されたのは、大学出のインテリ上等兵の田村高廣だった。彼はわざと幹部昇進試験を落第し、ひたすら満期除隊になる日を待ち望んでいる。
 
暴力で部下を従わせるのが軍隊の掟だが、田村が演じる上等兵は非暴力で勝が演じる初年兵を従わせる。人間として扱われたことに感激した勝は、田村を尊敬して慕うようになる。
戦況が悪化し、満期除隊になっても即時招集となり、東京に戻るのが絶望的になった田村は、勝とともに軍隊を脱走することを決める。その後、日本映画では珍しいアクションシーンが展開され、ついに二人は自由の身になる。
 
この映画が作られた時は、まだ映画界には軍隊経験者が多くいた。中には軍隊は天国で、戦争万歳という右派の監督もいたが、多くは軍隊で理不尽な扱いを受けた。それが、戦後多くの反戦映画やその他の映画に生かされた。
 
さて、この「兵隊やくざ」だが、見方によればこの作品は、ボーイズラブ映画とも言える。この辺りもお楽しみいただきたい。