みゆき野球教室

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ポセイドン・アドベンチャー The Poseidon Adventure

今年の7月、私はタイの首都バンコクで過ごした。

いろいろなところに行き、たくさんの人に会い、おいしいものをいっぱい食べた。
思い出深い旅になった。
トラベルの語源がトラブルだと聞いたことがある。旅にはトラブルかつきものだ。今回の旅でも、トラブルがあった。
 
ある日曜日、教会に行くためにホテルを出た。電車を乗り継ぎ、最寄り駅から歩いて15分くらいのところに教会がある。しかし、バンコクは暑い。いつも、教会に着く頃にはヘトヘトになっていた。
教会の近くには、大きな川が流れていて、そこには海上交通の桟橋がある。この船に乗ろうと思った。
高架鉄道BTSの駅に大きな桟橋がある。ここから船に乗れば、数分で教会のすぐ近くの桟橋に着く。運賃は15バーツ(約60円)。
船に乗り込み、運賃を払って下船の準備をした。しかし、満員御礼の船内を人をかき分け出口に着いた時にはすでに船は出航していた。次の桟橋で降りればリカバリーできると思ったが、運の悪いことにその船は急行船だった。かなり先の桟橋でようやく下船したが、そこは未知の街で土地勘がない。
「落ち着け」と心に命じてバッグからiPadを取り出し、Googleマップで現在地と目的地を調べた。するとタクシーで戻ればミサの時間に間に合うことがわかった。
結局このトラブルは、文明の利器と落ち着いた行動で損失を最小限で食い止めることができた。
 
船といえば、もう一つ思い出がある。帰国のヒコーキの眼下に小さく船が見えた。大きな海をゆっくり航海している。でも、方向を間違えず、絶えず前進していればいつかは遠い目的地に着く。それを見て、帰国したらそんな生き方を目指そうと思った。
 
小学生の夏、「ポセイドン・アドベンチャー」が公開された。莫大な製作費をかけたパニック巨編は話題になった。私も観に行きたかったが、行かなかった。映画館のある街までは親子三人で出かけたが、私が観たくないと言って、そのまま帰宅した。
初めてこの作品を観たのは中学生になってから。その後、何回も観ることになるが、観るたびにこの作品の面白さに気づく。
 
転覆した巨大豪華客船ポセイドン号は、一瞬にして地獄へと化す。生き残った人たちは出口を求めてさすらうが、行く手は水や火によって遮られ、命を落とす。
キリスト教の牧師スコットもまた出口を探す旅に出る。彼と仲間たちは様々な困難を乗り越え、いよいよ船底に近づくが、最大最悪の困難が待っていた。
 
この映画は、欧米人の根底に流れるキリスト教の崇高な理念、自己犠牲が重要なテーマとして扱われている。それがこの映画を単なるパニック映画から人間ドラマへと押し上げている。この映画をきっかけに、ハリウッドではたくさんのパニック映画が作られるが、その多くの作品がパニック映画の枠を超えないのは、ここまで人間を描かなかったからだろう。
 
モーリン・マクガバンが歌う美しい主題歌、「モーニング・アフター」はアカデミー歌曲賞を受賞した。私も大好きな曲だ。