みゆき野球教室

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東京難民

貧困は自己責任と言う人がいる。ビンボー人は高望みせずに中卒や高卒で働けと同じ口が言う。ビンボーな当事者がこのようなことを言うのを聞いたことがない。大抵は、親が十分に教育費をかけてくれる家の子供がそのように言う。
 
中卒や高卒でもまともな仕事につける時代は良かった。がんばれば部長や取締役にはなれなくても、課長や係長くらいまで出世でき、ローンでマイカー、マイホームが買えた時代があった。
 
しかし、今や高卒の仕事といえば、使い捨ての飛び込みセールスや飲食店、吹けば飛ぶような三ちゃん企業ばかりで将来設計も出来なければローンを組むことも出来ない。だから、有利子の奨学金という教育ローンを借りてでも大学へ行こうとする。
 
だが、ビンボーな家庭の子供は普段から勉強をする環境にない場合が多い。高い授業料の塾に通わせてもらえなかったり、幼い弟や妹の面倒を見なければならない場合もあるし、働いて家計にお金を入れることを求められる場合もある。従って、裕福な家の子供のように国立大学や有名私立大学に進学できる確率は低くなり、その差は就職するまで、そしてその後も広がる一方だ。
 
これに対しての処方箋を私は持たない。給付型の奨学金を設けても、金持ちの子供が獲得するだろうし、中卒や高卒に対して将来設計が出来る仕事を与えることも、仕事そのものが高度専門化するので難しいだろう。結局、努力して金持ちの家に生まれる以外にないだろう。恵まれた人は、すべて自分で努力したので今の境遇を得たと信じている人が多いので、がんばれば出来るかもしれない。
 
「東京難民」は、ビンボーが元で転落する若者を描いた傑作。努力して金持ちの家に生まれなかったために、ちょっとしたきっかけでどん底まで落ちる。悲惨な物語だ。
 
そういえば、何年か前に「ネットカフェ難民体験」を行ったことがある。半畳程度の個室では足を伸ばして寝ることが出来ず、疲れは癒せなかった。今は、ボロ家だけど、住む家があって良かった。
 
もはや、この世には神も仏もない。今度、恵まれた人に、努力をする方法を聞いてみようと思う。もしかすると、もう一度母の子宮に戻り、金持ちの家に生まれる方法を教えてくれるかもしれない。