友よ静かに死ね Le Gang

映画音楽にとても詳しい人がいた。彼は映画雑誌の編集部員で月に一度行われる予告編を見るイベントにたまに出演して、レコードジョッキーを行った。私は彼の語りが好きで、彼から映画音楽を学んだ。

 

しかし、彼は映画雑誌を離れることになる。高校しか出ていない彼は、どんなに映画や映画音楽に詳しくても、どんなにいい記事を書いても認められなかった。それどころか、新卒で入ってきた何人もの大卒編集者に追い越された。

映画雑誌を離れても、彼の語る映画音楽の話は素晴らしかったので、活躍して欲しかったが、家業を継いだと聞いた。

その映画雑誌はそれから数年後に廃刊となり、会社は倒産した。

 

その編集者のレコードジョッキーで取り上げられた映画に、アラン・ドロン主演の「友よ静かに死ね」があった。

私はこの映画を映画ファンになりたての頃に観た。そのため、思い出の一本でもある。

映画の内容は大したことはないが、音楽がとても良かった。

今でもこの映画の音楽を聴くと、新鮮だった十代の気持ちが蘇る。

 

音楽がレコードからCDに、そしてダウンロードになったことにより、私は再び映画音楽を聴く楽しみを取り戻した。