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みゆき野球教室

ダメ人間の由佳さんが毎日0時に更新しています

メル・ブルックスのサイレント・ムービー Silent Movie

映画が音を持ったのは20世紀の初めだ。しかし、商業的に成功するには時間がかかった。
世界最初のトーキー作品は「ジャズ・シンガー」とされている。
当時は、映画が音を持つことに抵抗がある人が多かった。評論家や監督などは芸術性が失われると頑なに拒んだ。しかし、映画会社はトーキーはカネになると思い、積極的に導入しようとした。
そして「ジャズ・シンガー」は大ヒットした。
この作品の大ヒットを受けて、トーキーは瞬く間に世界を席巻した。
 
日本では松竹キネマの「マダムと女房」が最初のトーキー作品になる。五所平之助監督、田中絹代主演の映画だ。
 
トーキー初期の撮影所の苦労話はMGMの「雨に唄えば」で興味深く描かれている。
 
最後までサイレント映画を作り続けた少数の監督の中にはチャーリー・チャップリンがいた。
しかし彼も、魔の手を伸ばすヒトラーと戦うために、トーキーという武器を手に入れた。そして作られたのが映画史上不朽の名作「独裁者」だ。
 
現代においては「アーティスト」がサイレント映画として製作された。
この映画ではトーキーの出現で仕事を失う名優が主人公として描かれた。
 
新しいテクノロジーは、人類に福音をもたらすが、その出現により不幸になる人が必ず出てくる。無常である。何の罪も無い人が、ある日突然お払い箱になる。
 
さて、メル・ブルックスという監督が大好きだ。彼はコメディを専門に映画を作り、自ら出演する多才な人だ。彼の作風はチャップリンとは違い、ペーソスはない。ひたすら笑わせる。
そんな彼の傑作のひとつに「メル・ブルックスのサイレント・ムービー」がある。この作品は、酒で人生をしくじった元名監督がそれを克服し、復帰作として無声映画を作ろうというコメディだ。
主演はメル・ブルックス自身と目玉のマーティ・フェルドマンの他、バート・レイノルズジェームズ・カーンアン・バンクロフトポール・ニューマンライザ・ミネリ、そしてパントマイムのマルセル・マルソーなどが彼ら自身の役で出演している。
作品そのものもサイレントで、セリフはたったの一言しかない。それを発したのは...。
 
とにかく明るく楽しい作品である。ペーソスはないし、教訓も得られないが、彼の作品を観てバカ笑いをすると明日もがんばろう、という気持ちになってくる。
メル・ブルックスの作家性も好きだが、彼自身も男性としてとても魅力的だ。このような人と一緒に暮らせば、きっと楽しいだろう。