喜劇 とんかつ一代
中国飯店という中華屋がかつてあった。最初は、アメリカ人の友達に連れて行ってもらった。大食漢の彼らの胃袋を満たすだけの大盛り。チャーハンや麻婆丼が500円だった。500円硬貨が発行された年で、まだ珍しかった500円硬貨をお釣りで出してくれた。
それ以降、一人でも何度か通った。
この店の特徴は、先に述べた通り量が多い。その上、サービスライスと称する白飯が茶碗で出てくる。もちろん、チャーハンなどの米飯を注文してもだ。そして、早い。特にランチタイムは注文して1分以内に出てくる。
味はそれほど美味しくはなかった。私の友人の舌の肥えた人はまずいと言っていた。しかし、ビンボー舌の私には最高にご馳走だった。
最後に食べたのはカレーチャーハン。私の大好物だ。
しかし、時代の流れに勝てなかったのか、惜しまれつつ閉店してしまった。
中国飯店ばかりではない。かつてよく行った思い出の店がどんどん無くなって、個性のある個人店や小規模店舗は少なくなった。
そんな中で、とんかつ屋の「とんき」ががんばっている。この店は目黒の老舗で、古い目黒駅の写真にも写っている。私は自由が丘店で初めてとんきの味に接して以来のファンだ。残念なことに、自由が丘店は閉店したが、目黒の店は今でも大繁盛している。
川島雄三も早く逝きすぎた。大好きな人も、大好きな店同様いなくなった。