みゆき野球教室

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鉄道員 Il Ferroviere

最近の日本ではストライキは絶滅したかのように見かけなくなった。
私が子供の頃は、国鉄や私鉄がストを行い、大人たちが線路の上を歩いて通勤する姿をニュースでよく見た。
 
言うまでもないが、ストライキは法律で認められた労働者の権利である。しかし、同じ労働者の立場でありながらストを行う人たちに対して、「迷惑をかけるな」という批判はよく聞く。すっかり労働者は去勢され、企業や経営者の言いなりになった。その結果、劣悪な労働条件で働くことを強いられ、ある者は命を絶ち、またある者は心を病んだ。
 
今の日本の必要なものはストライキだと思う。しかし、労働組合が無い企業やあっても経営者の犬になった労働組合ばかりで、私たち労働者の権利は風前の灯火だ。
 
イタリアの名作で「鉄道員」という作品がある。一度だけ、場末の名画座で観た。
厳格な機関車アンドレアは、息子の憧れだった。しかし、乗務中一人の若者を轢き殺してしまう。自殺で、急ブレーキをかけたが間に合わなかった。これがきっかけとなり、彼は赤信号を見落とし、大事故を起こしかけ、左遷される。彼は酒に溺れ、家庭も不幸が襲う。
そんな時、アンドレアはスト破りを行う。そしてついに、職場でも家庭でも孤立してしまう。
 
この作品を観たのは中学生か高校生の時だ。当然、労働法の知識も無い。だから、ストは迷惑なもので、スト破りを行ったアンドレアは英雄に見えた。今だったら、きっとアンドレアを非難するだろう。
 
テーマ曲がクラシックギターでとても美しかったことを覚えている。機会があれば、もう一度観返してみたい。