みゆき野球教室

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なんとなく、クリスタル

学生食堂や社員食堂が好きだ。
卒業した大学の学生食堂には、卒業後もよく食べに行った。一般にも公開されていたので、近所で工事をしている作業員の人や子供を連れたお母さん、常連のおじいさんもいた。
社員食堂は日立製作所で働いている時に、美味しい食堂があった。また、残業時のカレーも美味しかった。
日払いのアルバイトで行った大日本印刷横浜工場の社員食堂は酷かった。多分、刑務所の食事の方がマシだと思う。
今働いている放送局の局員食堂は充実していていい。寿司からラーメン、喫茶まであり朝はモーニングが食べられる。
 
アメリカの大学の学生食堂に憧れたが、留学の夢が叶わなかったので、未だに憧れのままだ。
六本木に「ジャック&ベティ」というカフェテリアがあった。まだ見ぬアメリカの学生食堂風だった。同じ街に住んでいたのでよく通った。今はもうない。
 
そういえば、六本木には「六本木食堂」という大衆食堂があった。当時は防衛庁がまだ六本木にあったので、ここにも体格の良いお客さんがいた。ただ、この店は男の人に連れて行ってもらわないと入りにくい。そのため、数回しか行ったことがない。そして、この店もなくなった。
 
田中康夫の「なんとなく、クリスタル」にも六本木食堂は登場する。
私がこの小説を読んだのは、19歳の時だった。大船のコインランドリーで洗濯をしながら貪るように読んだ。自分の知らない世界を見て、ショックを受けた。ビンボーだった私には、この小説の主人公のような上流社会の人々の生き方や生活は全くの異文化だった。
 
「なんとなく、クリスタル」は、松竹で映画化されて一度だけ観た。しかし、たくさんの洋楽を使ったために権利の関係でDVDになっていないという。もう一度観てみたい。
 
小説の方は「33年後のなんとなく、クリスタル」という続編が発表され、私も電子書籍を購入したが、まだ読んでいない。
軽薄な作品と批判されることも多いが、小説に関しては当時の時代を写した良い作品だと思っている。