みゆき野球教室

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グランド・イリュージョン NOW YOU SEE ME

子供の頃、いつものようにデパートのおもちゃ売り場に行くと、人垣ができていた。何かと思って見てみると、手品用品の実演販売だった。鮮やかな手さばきと絶妙な話術で人々を騙していた。
 
私は手品が好きだった。ちょうどその頃、寄席出身の手品師 伊藤一葉が大ブレイクして全国区の人気者になっていた。また、初代の引田天功も冠番組を持っていた。
伊藤も引田も若くして世を去った。伊藤は酒が大好きで、肝臓をやられた。先代の円楽の話しだと、巡業に行く際、夜行列車の中で最初から最後まで酒を飲んでいたそうだ。
 
この二人に比べ、長生きなのはゼンジー北京だ。中国服を着て、怪しげな日本語で笑わせる彼が好きだった。彼のキャッチフレーズは「中国は広島生まれ」というもので、子供心を捉えた。彼もまた寄席出身で今でも寄席で活躍している。
 
寄席といえば、東京では真打の落語家は「師匠」と呼ぶが、漫才や奇術などの色物と言われる分野の人は「先生」という。この呼び方には違和感がある。私は芸人は屋号亭号は省き、名前を呼び捨てにする主義だ。ただ、ゼンジー北京の場合はどう呼んだらいいのだろう。
 
今は寄席に人が入るようになった。ドラマの影響だ。しかし、一時期は寄席は閑古鳥が鳴いていた時がある。特に、平日の昼間は客が全く入らないこともあったそうだ。
その日はたまたま一人だけ客が入っていて、奇術の「先生」が、いつもの調子で演じていたが、何を間違ったか、「次の手品はお客さんに手伝ってもらいましょう」と言って客を高座に上げてしまった。この人はその前にテレビに出て客に手伝ってもらい評判だったので、二匹目のどじょうを狙ったのだが、無人の客席で見せた手品は考えてみたらシュールだ。
 
今好きなマジシャンは、Mr.マリックとデビッド・カッパーフィールドだ。実はこの二人、超常現象を起こす力を持っている。しかし、それがバレると国家に利用されるので、マジシャンと名乗っている。
 
グランド・イリュージョン」は、ラスベガスにいながらパリの大金庫から大金を奪う四人のマジシャンたちの物語。鮮やかなトリックに、思わず声が出てしまう。
 
最近はデパートで手品の実演販売が少なくなった。ちょっと残念だ。