みゆき野球教室

ダメ人間の由佳さんが毎日0時に更新しています

ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies

差別は卑劣な行為だ。
たとえ、心の中で思っていても、それを公言したり、差別的な行動はしてはならない。その掟を破れば、厳しいペナルティを受けるのが一流国の決まりだ。
同性愛者に対して差別発言を行ったボクシングのマニー・パッキャオ選手は、ナイキ社との契約を解除された。当然のことだ。
 
しかし、自称一流国では、公然と差別しても制裁を受けない。弁護士出身の国会議員が米国大統領を奴隷の末裔と発言した。だが、これは誤りだ。大統領はアフリカ系ではあるが、奴隷の子孫ではない。
これに対して、国会議員は「誤解を与えたとしたらお詫びする」と言った。これは、自称一流国の特定の政党の人が悪いことをした時によく使われる言葉で、お家芸とも言える。
 
この国会議員だけではない。この自称一流国では韓国や北朝鮮、中国は差別の対象であり、また病人や障害者、性的少数者なども差別をしていい対象とされている。美しい国は、実はちっとも美しくなかったのだ。
 
先日、貧困のニュースを読んだ。公立の中学・高校に入学しても制服代や修学旅行、受験代は大きな負担でひとり親の家庭では負担しきれないため子供が登校できないという内容だった。それに対して、貧困は自己責任であるという意見が驚くほど多かったことにびっくりした。
百歩譲って貧困が自己責任だったとしても、貧困になり、そうなったら浮かび上がることができない制度や仕組み、社会を作った人の責任が問われないということは納得がいかない。
結局、この自称一流国では弱い者は叩かれるが、強い者は悪いことのやりたい放題だ。
 
いつからこのような国になったんだろう? 昔はもっとまともだった気がする。
この国の自殺率は異常だ。この国に住んでいるだけで心を病む。日本というシステムは人間を幸せにすることはない。
昨日も書いたが、このような心の貧しい国だから、保守・右翼は必死になって日本はいい国だと自画自賛する。そうでもしないとやっていられないというのは、よくわかる。わかりすぎる。
 
日本はアメリカの劣化コピーといわれる。アメリカの良い部分は真似ず、悪いところは熱心に真似る。
今、アメリカでは大統領選挙で盛り上がっている。間も無く、スーパー・チューズデーを迎え、各党とも候補者が絞られてくる。注目は共和党のトランプ候補だ。彼が大統領候補になり、本戦でも勝利すれば、世界は終了する。おそらくは、共和党は彼を選ばないと思うが、何が起こるかわからない。例えば、アメリカ本土で大規模なテロがあれば、強いアメリカを望む共和党員、そしてアメリカ国民によって彼はホワイトハウスの主になるかもしれない。
 
トランプは、控えめに言っても狂ってる。彼は、不法移民流入阻止のため、メキシコとの国境に壁を作るように求めている。その発言に対して、ローマ教皇フランシスコは、彼の言動はキリスト教徒のそれではないと批判している。
私はカトリックなので、いくらかはフランシスコに贔屓目の判断をするが、カトリックでなくてもフランシスコを支持するだろう。
教皇フランシスコは、「壁を作るな。橋を掛けよ」と呼びかける。私は、その考えに賛同する。
 
「ブリッジ・オブ・スパイ」では、ドイツを東西に分断して壁を作る場面が描かれている。自由で豊かな西側と違って、東側は弾圧が厳しく貧しい。薄い壁を隔てた向こう側に自由を求めて逃亡する人たちが射殺される場面は心が痛む。
 
主人公のジムが極秘の任務を終えて帰国し、ブルックリンの高架線を走る地下鉄からフェンスを乗り越えようとした少年たちを目撃する場面が象徴的に描かれている。この映画的表現の見事なこと。観ていてホッとすると共に、自由のありがたさを観客一同が共有する得難い体験だった。
 
アメリカはダメな国だが、ある部分ではとても良いところを持っている。それは日本にはないところだ。私はアメリカ国民の良心を信じる。