みゆき野球教室

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私は貝になりたい

「ドラマのTBS」「報道のTBS」と言われていた時期が長くあった。TBSが放送界で果たした役割は大きかった。しかし、オウム事件報道でケチがつき、すっかりかつての隆盛は失った。
テレビジョンは転落したが、ラジオは今でもがんばっている。多くの良心的な番組がある。
 
そのTBSがまだ「ラジオ東京テレビ」という社名だった時に、歴史に残る名作ドラマが生まれた。それが「私は貝になりたい」だ。まだ若いフランキー堺が主演し、社会現象にもなった。翌年には、東宝で映画化され、テレビドラマと同じフランキー堺が主演した。
 
上官により捕虜を殺すように命じられた主人公は、気が弱くて怪我をさせただけに終わった。
戦後、主人公は故郷で以前と変わらない生活を営み、小さな幸せを感じていた。そんな時、警察により逮捕されてしまう。容疑は戦争中に捕虜を傷つけたことによる。不当な裁判で死刑が言い渡される。
拘置所で刑の執行を待ちながらの毎日。
噂で戦犯が罪を赦されて釈放されると聞き、自分もそんな日が来るかと思われたが、運命は過酷だった。ある朝、看守に呼ばれて刑が執行される。死の前に、主人公は遺書を残した。
「もう人間には二度と生まれてきたくない。生まれ変わるなら、深い海の底の貝になりたい」と。
 
戦争は残酷だ。生きるか死ぬか。生きるためには殺さないといけないこともある。
また、同じように戦犯になっても、命令した上官は赦され、部下は死刑になることもあった。
捕虜が衰弱しているので、滋養のあるごぼうを与えたところ、虐待したとして裁かれた人もいた。
戦争なんてするものではない。
 
私も、もう人間には生まれてきたくない。生まれ変わるなら、優しい飼い主に飼われるネコになりたい。