みゆき野球教室

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フィッシャー・キング The Fisher King

首都圏では月曜日の午後からワイドFMが始まる。これは、AMの電波の入りにくいエリアや災害対策に補完放送としての役割がある。幸い、私の家はAMの電波が明瞭に入るが、東京の中でも江戸城のあたりや電車の中、ビルの中は電波が入りにくい。
月曜日の本放送を前に、今は試験放送が行われている。その中で、私が好きなジャズミュージシャンの菊地成孔の番組「菊地成孔の粋な夜電波」の再放送をやっていた。
菊地は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのミュージシャンだが、一時はCDも売れずにレコード会社をクビになったこともある。彼は、生業の音楽を始め、映画や文学、そして精神医学にも精通している。
 
その再放送で心を病んだジャズミュージシャンの話をしていた。一部しか聴いていないのでうろ覚えだが、この業界には心を病む人が多いらしい。その多くは、破滅をしたり、そのまま消えてしまうが、中には復活する人もいるという。その中で、ボサノヴァを作った男として知られるアントニオ・カルロス・ジョビンもそのひとりだという。彼は、知らない人はいないと言われるくらい世界中で全ての年代の人に対して大ヒットした「イパネマの娘」を作曲した。
彼は若くして栄光を得たが、その後、心を病んでしまった。だが、不死鳥のごとく復活して、幸せな余生を過ごしたそうだ。
 
それを聴いて、私も復活したいと思った。私は何の栄光もないし業績もない。だが、心を病んでいる。やっと復活したと思ったが、弱さゆえまた転落してしまった。失意のどん底にあり、生きるのがしんどいが、きっと復活したいと思うようになった。それは、たぶん菊地が放送中に何かのメッセージを発したからだ。何を言ったかは覚えていないが、たぶん意訳をすれば「死ぬこと以外かすり傷」といったものだったと思う。
 
ロビン演じる浮浪者は、元人気DJで番組での不用意な発言で落ち目になったジャックに聖杯を探す役割があることを話す。ふたりはやっとの事で聖杯を探し当てるが・・・。
 
この映画は、どん底にある男たちが生きる目的を探して奮闘することが描かれていて、観た当時、とても励まされた。この世は、うまくいかないことも多くあるが、それでも生きることは価値があることを教えてくれる。
 
ただ、残念なのは、現実のロビンはうつ病で命を絶った。彼は、本当にいい人だった。彼の遺骨は、大好きなサンフランシスコ湾に散骨された。
 
私は、たとえ辛い人生でも、生きようと思う。