みゆき野球教室

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七人の侍

若い頃の話だが、電柱に登ったことがある。下から見る分には低く思えるが、電柱の上から見ると、すごく高い。私は高所恐怖症なので、怖かった。
私は馬に乗れるが、最初に跨った時は、その高さに驚いた。その上、上下の反動があるので恐怖はより強調される。今ではすっかり慣れたのでむしろそれが楽しく感じる。
目線を変えると、見えなかったものが見えてくる。これは物理的な目線だけでなく、想像上の目線でも同じ。つまり、人の立場に立って物事を考えることが大切だということだ。
 
映画やテレビでは位の高い人が庶民に扮して下々の人たちの生活ぶりを見て回るという設定がある。その代表格は、水戸黄門だろう。このように、政を行うものは城の中ばかりにいてはならない。
皇室のお姫様が身分を隠して震災被災地に行った記事を見た。私は皇室は支持しないが、立派だと思う。彼女だけでなく、今の皇室はノブレス・オブリージュを具体的に示している。このノブレス・オブリージュは、高貴なるものは義務を負うというものだ。英国王室も王子は従軍しているし、いざとなったら最前線に行くという。
ところで、美しい国の現政権のおぼっちゃま宰相は、ノブレス・オブリージュとは真反対の生き方をしている。彼は若者を戦場に送る法律を成立させたが、彼自身は国のために命を捧げないと明言している。なんと薄っぺらい人だろう。
 
ノブレス・オブリージュは騎士道が起源であるという。日本では武士道がそれに当たるだろう。日本も、昔の為政者は立派な人が多かったようだ。高い身分と特権が与えられているが、いざとなったら命をかけて守るべきものを守る。
武士道について知るには、時代劇映画を観るのが一番いい。例えば、黒澤明の「七人の侍」はどうだろう。
実りの秋になるとやって来て、収穫をすべて奪っていく盗賊を退治するため、百姓たちは金を出し合いサムライを雇う。彼らはどこにも仕官できないはみ出しものだが、腕は確かだ。
雇われサムライ、百姓たちの連合軍は次々と悪党を倒していく。しかし、命を落とすものもいた。戦いはサムライと百姓たちに軍配があがる。
 
この作品は、当時としては莫大な巨費が投じられた。長期間の撮影は過酷を極めた。その撮影は、世田谷区砧(きぬた)にある東宝撮影所とその周辺に巨大なオープンセットが作られ行われた。今では一等地だが、当時はまだ田園風景が広がる牧歌的な街だった。私も近所に住んでいたので、当時のことを想像できる。まだ日本映画が元気で、黒澤が天皇と言われていたから出来たんだと思う。
 
農民のために命をかけたサムライ。彼らは金のために戦う道を選んだのかもしれないが、意思決定の過程で武士道の存在があったことは否定できないだろう。
劇中のセリフにもあるが、結局勝ったのは農民だが、サムライは決して無駄死にではなかったと思う。
 
この映画はDVDで観るのもいいが、出来れば映画館の大きなスクリーンで観て欲しい。
この映画に影響された世界の映画人は多い。次に観るあなたが、もしかするとこの映画に影響を受けて世界に通じる傑作を作る大監督になるかもしれない。この作品にはそんな力がある。
 

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