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幻の馬

競馬の菊花賞は、本来なら皐月賞東京優駿を勝ったドゥラメンテが三冠を獲得するはずだった。しかし、彼は故障発生で戦列を離れ、一気に難解なレースとなった。
順当にいけば、東京優駿の上位馬が菊花賞を制すると思われるが、秋になり充実した馬にも十分にチャンスがある。
私は、そんな秋の充実組の中から、前走セントライト記念を勝ち上がったキタサンブラックが菊花賞馬に一番近いと思い、単勝(1着馬を当てる馬券)に1,000円を投じた。この原稿を書いている時点で4番人気の10倍。つまり、1,000円が10,000円になる。
ちなみに、キタサンブラックのオーナーは北島三郎。もし、このレースに買ったら京都競馬場で熱唱するそうだ。

競走馬のオーナーになるためには厳しい審査がある。暴力団などの反社会的な組織や人物と関わりがないか、犯罪歴はないか、十分な資産と収入はあるか、など。とてもサラリーマンではなれるものではない。
馬主業は儲かるものではないが、一種のステータスとして多くの人が憧れる。大きなレースのパドックでは、馬主やその夫人たちが目一杯のおしゃれをして集う。馬を見るより、そんな人を見るほうが楽しい。上流社会の人々は、やはり気品がある。着ているものも持っているものも高級品だ。いつかは私もその中に入りたい。

大映の社長、永田雅一は馬主として有名だった。彼の持ち馬、トキノミノル皐月賞東京優駿日本ダービー)と勝って秋には三冠の最終戦、菊花賞を奪って三冠馬になることが約束された馬だった。しかし、東京優駿の17日後、彼は破傷風で命を落とす。生涯成績は10戦10勝。トキノミノルは幻の馬と言われた。
永田は彼を悼み、「幻の馬」という映画を製作した。

大映はやがて倒産し、永田は没落した。しかし、トキノミノルの功績と永田がオーナーであったということは永遠に記録され、記憶されるようになった。
今でも東京競馬場にはトキノミノル像がある。