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愛と平成の色男

「出る杭は打つ。それが大工の仕事だ。しかし、出過ぎた杭は打たない。それは柱だからだ」というラジオCMがある。いやいや、出る杭は当然打つが、出過ぎた杭も全力で打つのが日本という社会。
この国では、目立つことは悪だ。みんなと同じようにしていなければいけない。ちょっとでもはみ出したら、最悪社会から抹殺される。
言論を権力や暴力で封じるということも最近では目立つ。中国や北朝鮮のことではない。この「美しい国」ニッポンでのことだ。
 
石田純一は軽薄な俳優という印象を恐らくは多くの人が持っていたと思う。しかし、国会前のデモに参加して熱弁をふるったことで彼の評価は大きく変わった。私もそのひとりで、彼を見直した。
そんな石田が今危機を迎えている。デモに参加したという理由で、CMなどをキャンセルされ、広告代理店からは厳重注意を受けたという。
欧米先進国では俳優であっても自分の意見を表明することは当たり前だし、むしろそれがないのは恥ずかしいとされる。もちろん、圧力がかかることもない。しかし、裸の王様が統治するこの国では、その逆のようだ。
本当に恐ろしい国になった。言論統制はじわじわと忍び寄っている。気がついたら、北朝鮮以上の国になっているかもしれない。
 
その石田純一が主演した「愛と平成の色男」は、私にとっては思い出がある作品だ。映画そのものの興味より、端役で出演していた石森かずえのファンだったからだ。
石森かずえは、モデル出身でテレビ東京の「土曜競馬中継」の司会者となった。最初は競馬のことを何も知らなかった石森は猛勉強してこの番組に臨んだ。彼女の美貌と明るい性格は、たちまち競馬ファンを魅了した。
「愛と平成の色男」の監督、森田芳光は競馬ファンとして知られる。その縁で石森かずえの出演となった。
私は一度、銀座松屋で行われたトークショーで石森に会った。とてもステキな女性で彼女のようになりたいと思った。
やがて石森は芸能界を引退して、騎手の蛯名正義と結婚した。とても幸せな過程を築いていると聞いている。
 
この作品にはモデルの久保京子も出ていた。私は彼女が大好きで憧れた。でも彼女のような女性には逆立ちをしてもなれない。
若くして自ら命を絶った天才落語家 桂三木助も出ている。
 
この作品を監督した森田芳光ももうこの世にいない。
みんな、みんないなくなる。