みゆき野球教室

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それでもボクはやってない

今日は地元の警察署に行ってきた。悪いことをしたわけではない。運転免許証の記載事項に変更があったので、届けに行った。担当の交通課の警察官は親切に処理をしてくれた。このような名もなきお巡りさんが市民の安全を守ってくれていることに感謝した。

 
しかし、昨夜観た映画に出てくる警察官は揃いも揃って乱暴で嘘つきで人権を無視する人ばかりだった。
それでもボクはやってない」を観た。周防正行監督が10年ぶりに撮った新作映画。痴漢冤罪をテーマにしている。言うまでもないが、痴漢は卑劣な犯罪であり、断じて許すことはできない。しかし、一方この犯罪は被害者の女性の言い分は聞いてもらえるが、容疑者は何を言っても聞いてもらえない。それどころか、嘘をついていると決めつけられ、反省がないとされる。
 
99.9%。これは、日本の刑事事件における有罪率だ。一旦起訴されれば、1,000人にひとりしか無罪にはならない。警察、検察が有能という見方もできるが、冤罪ですら有罪になり得ることを示している。
 
映画では、気の弱そうなフリーターの青年が満員電車で痴漢の疑いがかけられ、現行犯逮捕される。取り調べでは鬼のような刑事が怒鳴りながら罪を認めろといい続ける。
当番弁護士を呼んで助けを求めるが、彼もまた罪を認めて示談にしたほうが得策だと持ちかける。しかし、本当にやっていない罪を認めることはできず、彼は長期間拘留されることになる。
留置場でも人間扱いされないことに驚く。まだ起訴もされていない被疑者の段階でのことだ。
司法もまた人間味のない人ばかりが出てくる。
結局彼は、人権派の別の弁護士の力を借りて裁判で闘うことになるのだが、彼に下された判決は執行猶予のついた有罪。無実の人は無罪にはならなかった。
 
痴漢冤罪だけの話ではない。私たちはいつ警察に逮捕され、恣意的な取り調べを受けて、裁判で無罪を主張しても有罪になる可能性がある。特に、現政権になってからは、締め付けがより厳しくなってきているように感じる。何もしていなくても、為政者の都合の悪い人間を法の力を借りて抹殺することは赤子の手をひねるより簡単だ。怖い世の中になった。もし、このブログが急に更新されなくなったら、私もそうなったと思ってほしい。
 
国家権力に鋭く切り込んだこの作品。観ていてとても気が重いのだが、明日は我が身。皆さんもいつか逮捕された時に慌てないように一見をお勧めする。