みゆき野球教室

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苦役列車

この数日、メンタルの調子が著しく悪い。そのため、大好きなラジオとTwitterを遠ざけて、映画を観ることで気持ちを紛らわしている。

しかし、今日はとてもつらい映画を観て、ますます気持ちがつらくなった。
 
苦役列車」は、西村賢太の原作を映画化した作品だ。この自伝的作品は、西村であろう若者のやりきれない青春時代が描かれている。
 
父親が犯した性犯罪のため、義務教育を終えると逃げるように母のもとを去った主人公は、日雇いの荷役作業に従事している。将来の希望もなく、日当は酒と風俗店での遊びに消えていく。貯金をするでもなく、家賃を取っておくこともしないので、いつも数ヶ月分の家賃が溜まり、強制退去を繰り返していた。
ある日、職場で育ちの良さそうな同年代の若者と出会い、友達になるが、越えられない壁が立ちはだかった。
 
この映画は、社会の底辺に生きる人の嫌な部分や怖いところを忠実に描いている。職業に貴賎はない、人間に上下などないというきれいごとはこの映画を観れば言えないはずだ。
私もかつて、この主人公と同じような底辺で生きてきたので、観ていてとてもつらかった。どんなに努力をしても、どんなにがんばっても、底辺の蟻地獄からは這い上がれない。そこには絶望しかなく、それに押し潰れないためには酒や博打、セックスに狂うしか正気を保つ方法がない。
主人公も、周りの人たちも、貧しいが故に、学歴がないために、人生の理不尽さ、不条理さを嫌というほど味わう。
 
映画や文学は、自分以外の人生を疑似体験できる。その体験が多いほど、深みのある人間になれる。
そんな意味を込めて、この映画を多くの人にお勧めしたい。