みゆき野球教室

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ローマの休日 ROMAN HOLIDAY

子供の頃からカメラが好きだった。

一番最初のカメラは、オリンパスPEN。ハーフサイズのカメラだった。このブランドは、のちにミラーレスデジタル一眼として復活した。8歳くらいまで使ったが、海水浴に行った時に水没して買い換えることになった。
 
二番目のカメラは、オリンパス35DC。優秀なカメラだったが、中学生になった頃には、表現力が豊かな一眼レフが欲しかった。
 
やっと一眼レフを買ったのは、高校に入ってから。オリンパスOM-1にするかその他のメーカーにするか迷ったが、結局PENTAX MV-1という入門機を買った。このカメラは大活躍したが、キャンプに行った時に水没した。しかし、保険を掛けていたので、新品と交換できた。
 
中学・高校の部活は写真部に入った。暗室で白黒写真の引き伸ばしを経験し、魅せられた。
高校では、写真部の中の映画班に所属して、8mm映画を撮った。
一瞬を切り取る写真は、映画とは違った魅力があった。しかし、撮影する写真は映画の影響を受けたのも事実だ。組写真という手法を好み、この道の大家、名取洋之助に心酔した。
 
今思い出してもカメラや写真という道楽は楽しかった。まだデジタルカメラがない時代。フィルムも現像代もプリント代も高かった。でも、街の写真屋さんにフィルムを預けて数日後にプリントが出来上がり受け取りに行く時は、ワクワクとドキドキとが同居する心を落ち着かせるのに苦労した。
 
今は、カメラは持っていない。写真はiPhoneで撮っている。食べ物やネコさん、街で見つけたおかしなもの、ヒコーキなどを撮って楽しんでいる。
 
もし、今カメラを買うとしたら、カメラではなくキャメラを買いたい。映画人は伝統的にカメラをキャメラというが、私もその主義を貫いている。欲しいのはスチールカメラではなく、16mmのムービーキャメラ。アリフレックスの中古を狙っている。
 
ローマの休日」を観たのは、高校生の時だ。すでに恋を知っていたので、この切ないラブ・ストーリーには胸が焦げるような思いがした。
白黒の美しい作品で、スクリーンの中のオードリー・ヘップバーンに憧れた。相手役の新聞記者は正統派の男前、グレゴリー・ペック。お似合いのカップルだ。
 
王女という身分を隠しローマの休日を楽しむ彼女と一日限りのデートを楽しむアメリカ人記者。そして友人のカメラマン。記者とカメラマンは彼女が王女であることに気づき、特ダネをモノにしようとした。カメラマンはライター型のスパイカメラで王女を盗撮する。やがて別れの時がやってくる。記者は王女に恋をしたことを知り、特ダネの野望を封印する。
ラストシーン。大使館での記者会見で三人は再会する。彼らは、王女にあの日の写真を手渡す。王女と新聞記者、目と目で別れを告げる。最後に写真撮影の時間。他のプレスは大きなカメラでフラッシュを焚いて撮影するが、彼らはこのスパイカメラで写真を撮る。この演出の憎いこと。
誰もいなくなった大使館。一人歩く新聞記者のグレゴリー・ペックの靴音が忘れられない。
 
この映画で使われたスパイカメラ。有名なミノックスだと思っていた。しかし、本稿を書くために調べてみると、日本の鈴木光学のECHO-8というカメラであることが判明した。ここまでカメラが効果的に使われた映画を私は知らない。
 
恋をずいぶんお休みしている私。今夜は、ロマンチックな音楽を聴いて次の恋を夢想しよう。夢の中で私はオードリー。