みゆき野球教室

ダメ人間の由佳さんが毎日0時に更新しています

チャンプ The Champ

私は今、失業中だが、直近では大井競馬場で働いていた。競馬関係者は馬券を買うことができないが、競馬場で働く前は熱心な競馬ファンで馬券も買っていた。今は、馬券を買わずにレースを楽しんでいる。


競馬が好きすぎて、御殿場の高級乗馬クラブで住み込みで働いたこともあった。このクラブは巨匠と呼ばれた映画監督や有名司会者などもメンバーだった。
毎年夏になると、良家の子女がここで合宿生活を送る。彼らは生まれた時から大金持ちで自分の馬を持っている。
私は、父方の祖父に前述の映画監督、母方の祖父に俳優の少年のお世話をした。彼はのちに俳優としてデビューするが、当時から恵まれたルックスで人気者だった。私は彼を買収して「T.J.」と呼ばせていた。
でも、その乗馬クラブでの生活も、私の落馬事故で終わりを告げる。私は何の補償もなくクラブを追われた。のちにそのクラブはたくさんの訴訟を抱えるが、当時からそのような企業体質だったようだ。
 
「チャンプ」を観たのは、中学3年か高校1年の頃。当時は、競馬などまるで興味がなく、映画漬けの毎日だった。
父とも母とも不仲で、私にとって唯一の居場所は映画館の暗闇だった。浴びるように映画を見た時期だった。そんな時にこの映画と出会った。
 
ボクシングの元チャンピオンの父とその一人息子の絆を描いたこの映画。
元チャンプは、今はフロリダ州のハイアレアパーク競馬場で厩務員として働き、酒とギャンブルに明け暮れていた。ある日、ギャンブルで大儲けして、息子のために一頭の競走馬を買い与える。「T.J.」と呼ばれた少年はその馬にシーズ・ア・レディと名付けた。
いよいよ、シーズ・ア・レディのデビュー戦。しかし、レース中彼女は転倒して安楽死となる。映画の中で一番悲しい場面をよく覚えている。映画はさらに悲しい展開となる。
まるで救われない物語だが、私はこのチャンプのような人が父だったら、と思った。
 
今日、久しぶりに大井競馬場に行った。以前の同僚たちは元気に働いていた。
馬が走る姿を見て、私は競馬場が好きだということを再確認した。